高齢者講習の歴史は古く実は1998年には、道路交通法の改正で実施されるようになりました。そして最近の高齢化による事故の増加にともない、政府はたびたび道路交通法の改正を行い、事故を減らす努力をしています。

高齢者講習を受けた方には、「カンタンな内容なので自分は受ける必要がない!」「たいしたことしてないけど料金ばかりかかる!」という方が少なからずいらっしゃいます。

しかしなぜ、これほどまでに高齢者講習は必要なのでしょうか?人間年を取ることで少しずつ判断能力が衰えてくるので、今は問題なくても、必ずどこかで車が乗れなくなる時が来るからです。じつは70歳以上になってくると記憶力や判断能力が、どうしても低下してきます。人それぞれ能力低下には差がありますが、若い時と比べると、物覚えが悪くなった、忘れやすくなったという自覚がある方も多いでしょう。

こうした記憶力や判断能力の低下は、車を運転するときには事故になりやすいです。

最近では、高齢者がブレーキとアクセルを踏み間違えてコンビニに突っ込んだりするケースが増えていて、ニュースでもたびたび報道されています。そのため大手自動車メーカーでは自動ブレーキシステムを開発して、ぶつからない車を生産するようになりましたが、まだまだ始まったばかりなので、ブレーキとアクセルの踏み間違えの事故は当分改善されないでしょう。

また、高速道路の逆走も目立つようになりニュースでたびたび取り上げられるようになりました。

こうした背景には日本が超がつくほどの高齢社会となったことが挙げられます。なんと日本人の25%が65歳以上の高齢者に該当します。しかし、車を運転しないと生活ができない高齢者は多いので、高齢者講習はとても必要ということになります。

高齢社会の影響によるブレーキとアクセルの踏み間違え、高速道路の逆走などを防ぐためにも必要不可欠な講習ですので、嫌がらず受けるようにしたいところです。

運転免許証の更新をするときに年齢によって更新の方法が異なります。特に70歳以上は高齢者に該当しますので、高齢者講習を受けないといけません。それでは、高齢者講習はこれまでの運転免許の講習と何が違うのか?高齢者講習はいつからなのかなどについてご紹介していきます。

高齢者講習と一般の講習の違いは?

高齢者講習と一般の講習の違いは講習の受講期間の違いです。

70歳未満の一般の講習の場合は更新も講習も2か月間で行う必要があった。

70歳未満が受ける一般の講習の場合、更新する年の誕生日の一か月前から誕生日の一か月後までの更新期間中に受けることになっています。そのため、更新年の誕生日の35日前に運転免許更新連絡書とかかれているハガキが届きます。そして更新も更新期間中に行わなければいけません。ちなみに予約は必要ありません。

70歳以上の高齢者の場合は講習を5カ月も早くから受けることができる。ただし予約制であることに注意!

しかし70歳以上の高齢者講習の場合は更新期間の満了日から数えて半年前になれば高齢者講習を受けても良いことになっています。誕生日から数えると5カ月前から受けることが可能ということになります。そのため更新期間満了日から数えて半年前に自宅に高齢者講習のお知らせと書かれているハガキが届きます。

高齢者講習を受ける前に予約をする必要がありますのでハガキが届いたら、ハガキに講習会場のご案内と書かれている箇所をよく読んでからハガキに記載されている講習会場(運転免許センターまたはお住まいの都道府県内の自動車学校)の電話番号へ電話をかけて予約をしましょう。

高齢者講習の料金は?

ちなみに70歳以上74歳まではすぐに高齢者講習(3時間)を受けることができます。ちなみに受講料金は5600円となっています。

しかし75歳以上の場合は高齢者講習の前に30分間の講習予備検査を受ける必要があります。検査料は650円となっています。
そして講習予備検査を終えてから高齢者講習(2時間30分)を受けることになります。受講料金は5200円です。

このように年齢ごとに受講手順に若干の違いがありますので注意しましょう。

そして、高齢者講習を受けると高齢者講習修了証明書をもらうことができます。

高齢者講習を受け終えたらどうしたらいい?

70歳以上の場合、更新は半年前からすることはできません。更新は70歳未満のときと同様に更新する年の誕生日の一か月前から誕生日の一か月後までの更新期間中に受けることになっています。ここが高齢者講習と異なるところです。

ですので、予め高齢者講習を受けると高齢者講習修了証明書をもらったら、更新する年の誕生日の一か月前から誕生日の一か月後までの更新期間中に高齢者講習修了証明書を持参して更新を受けるようにしてください。

高齢者の運転免許の更新をするときに事前に準備しておくもの

・運転免許証
・認印
・在留カード(外国人の方)
・高齢者講習修了証明書
・※警察署や分庁舎へ行かれる方のみ、申請用写真1枚(縦3センチ×横2.4センチ、頭から鎖骨あたりまでの正面、サングラスや帽子厳禁、派手な服装はやめましょう)ちなみに運転免許センターで更新を受ける場合には必要ありません。

さらに年齢別(70~74歳まで・75歳以上)で高齢者講習の内容について以下にご紹介していきます。

高齢者講習の内容とは?

高齢者講習とは1998年に施行された改正道路交通法により義務化されました。70歳以上の方には高齢者講習として講習時間が増えている場合が多いです。また、70歳から74歳までの場合と75歳以上の場合では若干講習する手順が異なりますので、注意が必要です。

高齢者講習の4パターンとは?

高齢者講習は以下のように4パターンの講習制度のうちどれかお好きなのを1つを選び受講することができます。

1.高齢者講習
2.チャレンジ講習+簡易講習
3.シニア運転講習
4.運転免許取得者教育

しかし主に1.高齢者講習をメインに受ける人ばかりで2.チャレンジ講習+簡易講習3.シニア運転講習4.運転免許取得者教育を選択する人は非常に少ないです。ですので以下は1.高齢者講習(70歳から74歳までの方)についてメインにご説明していきたいと思います。

1.高齢者講習の内容とは?(70歳から74歳までの方)

70歳から74歳までの高齢者講習は3時間5600円となっています。ただし小型特殊免許を所持されている場合は実車を使っての指導と30分の討論は免除となり1時間30分2250円となります。

70歳から74歳までの高齢者講習の内容は以下のとおりとなっています。

・30分間の講義(高齢者の交通事故にありがちなケースについての説明、ビデオやテキストを用いた安全運転の知識を身に着けるための講義を椅子に座って学びます)

・1時間の指導(運転適性器材による指導、動体視力と夜間視力の検査とカートトレーナー)
カートトレーナーとはまるでレーシングゲームさながらのシュミレーションでハンドルとギア、ブレーキを操作しながら運転技術を検査します。急に障害物が飛び出してくるので、いかに早くブレーキを踏むことができるのかテストします。

・1時間の実車を使っての指導(信号機や一時停止の交差点と見通しの良くない交差点での対応、S字カーブ、クランクなどの走行、左折や右折、縁石に乗り上げないようにバックで駐車などします。)

・30分間の討論(ヒヤリハット体験談や事故の事例などについての討論)

なお、高齢者講習を修了すると高齢者講習終了証明書を受け取ることができます。

高齢者講習の認知機能検査とは?(75歳以上必見!)

75歳以上の方は更新期間満了日の半年前に自宅に高齢者講習のお知らせのハガキが届きますので、かならずハガキに記載の受講場所をチェックし、予約をして高齢者講習を受講するようにしましょう。なお、75歳以上になると、これまでよりも若干受講内容が違ってきます。

75歳以上の場合はかならず講習予備検査(認知機能検査)を受けないと高齢者講習を受講することはできませんので注意が必要です。それでは講習予備検査と高齢者講習について詳しくご紹介していきたいと思います。

75歳以上の方の場合、講習予備検査(認知機能検査)が必要になります。

75歳以上の方の場合、講習を受ける前に講習予備検査を受ける必要があります。講習予備検査とはご自分の記憶力や判断能力がどのくらいなのかを知るための30分間の認知症チェックテストです。検査費用は650円です。

テストの内容は名前、生年月日、性別、今日は何日なのか、何曜日なのかなどの身近なことのチェックや教官に指示された数字を消したりする判断能力チェックや思い出しチェックなど5問になります。(※問題の内容は変更になる場合があります。)

もし、この講習予備検査を受けて記憶力の低下や判断能力の低下を指摘された場合でも免許はく奪ということはありません。

とりあえず更新をすることができ、基準行為の確認期間の間に基準行為を起こさないか認知症チェックされることになります。テストの結果は終了次第、即日書面で教えてくれます。

基準行為について

基準行為とは認知症にかかっていればありがちな行為のことで政令によって決められています。認知症にかかっているかもしれないと判断された方は信号無視をしたり、高速などのスピードを上げないといけない道路でゆっくり走ってしまったり、交差点をうまく曲がれない、一時停止ができない、進路変更ができないなどの交通違反をする傾向があるということが1600名の高齢運転者の調査により判明したそうです。

運転をするという能力は、一見何気なくカンタンに行われていますが、複数の頭脳の働きを作用させることで運転することができますので高度な能力と言われています。

もし以下の基準行為をしてしまったときには頭脳の働きの衰えがある可能性が高いので臨時適性検査と言って医師に認知症にかかっているかどうかの診断してもらうことになり、もし認知症と診断された場合、その時点で運転免許の停止または取り消しになります。

ちなみに基準行為とは以下の通りです。

・一時停止をしなかった
・信号無視をしてしまった
・Uターン禁止の場所でUターンしてしまった
・後進してはいけない場所で後進してしまった
・進入禁止通路なのに侵入してしまった
・徐行しなければいけない場所なのに徐行しなかった
・左側通行しないといけないのに右側通行してしまった
・進路変更してはいけない場所なのに進路変更してしまった
・交差点で優先車両を妨害してしまった
・横断道路の歩行者を妨害してしまった

高齢者講習の内容とは?(75歳以上の方)

高齢者講習は以下のように4パターンの講習制度のうち1つを選択するようになっていますが1.高齢者講習を選択する人がほとんどです。

1.高齢者講習
2.チャレンジ講習+簡易講習
3.シニア運転講習
4.運転免許取得者教育

というわけですので1.高齢者講習の内容(75歳以上の方)について以下にご紹介していきます。

75歳以上の高齢者講習は2時間30分5200円となっています。
ただし小型特殊免許を所持されている場合は実車を使っての指導と30分の討論は免除となり1時間30分2250円となります。

75歳以上の高齢者講習の内容は以下のとおりとなっています。

・30分間の講義(高齢者の交通事故にありがちなケースについての説明、ビデオやテキストを用いた安全運転の知識を身に着けるための講義を椅子に座って学びます)

・1時間の指導(運転適性器材による指導、動体視力と夜間視力の検査とカートトレーナー)
カートトレーナーとはまるでレーシングゲームさながらのシュミレーションでハンドルとギア、ブレーキを操作しながら運転技術を検査します。急に障害物が飛び出してくるので、いかに早くブレーキを踏むことができるのかテストします。

・1時間の実車を使っての指導(信号機や一時停止の交差点と見通しの良くない交差点での対応、S字カーブ、クランクなどの走行、左折や右折、縁石に乗り上げないようにバックで駐車などします。)

※75歳以上の場合は討論はありません。
なお、高齢者講習を修了すると高齢者講習終了証明書を受け取ることができます。