今回は中古車買取業者がどのようにして利益を出すのかについて説明していきます。

「どこよりもあなたの車を高く買います!」
「車売るなら○○!」
このようなテレビCMや広告を一度は見たり聞いたことがあるのではないのでしょうか?

このようなCMで自社をPRしている企業といえば、大半が「中古車買取業者」であるかと思います。

中古車買取業者にはさまざまな業者があって規模が小さな個人経営の町の買取業者から、全国にお店を展開し広大な敷地に多くの中古車をずらっと並べている買取業者など数えきれないほど存在します。

どんなに若者のクルマ離れや、新車売上の低迷等が騒がれている昨今であっても、車社会である日本に置いて中古車の売買も含めた自動車の流通量はかなり多いです。

そうかといって、中古車の購入を考えているユーザーは、どんな車でも良いと考えて車を探している訳ではありません。

「この年式のこの車で、走行距離が○万km以内でカラーは△色で…」とこだわるポイントは沢山あります。

中古車買取業者が買い取った車が、自身の店舗でそんな中古車の購入を考えているユーザーの求める条件をピンポイントで捉え、すぐに売れていく…。なんて、うまい話はそうそうないように思えますよね。

では、「中古車買取業者」はどのように利益を出して、会社として成り立っているのでしょうか。早速、説明していきたいと思います。

中古車の査定金額の決め方

まずは下取りや買取に出した車はどうやって値段が決まっていくのか簡単に説明します。

同じ車を買取店で買取査定に出したことがある方なら分かるかと思いますが、買取店ごとに買取価格に差がありますが、最低限この基準で買うべきという査定基準価格があります。これは、一般財団法人 自動車査定協会が定めている適正価格を元に算出されています。

そして、この査定基準価格は毎月、自動車販売業者に向けて発行されているイエローブックというものに、その時の市場に応じた各車種の細かいグレードから年式、走行距離、ボディカラー等によって細かく分けられ掲載されています。

それを元に各ディーラーや中古車買取店ごとに独自の査定を行い、外装・内装やエンジンルーム内の状態によって加減点されたものが最終的に下取り・買取査定金額となります。

そして、ディーラーの下取りでは、減点方式が基準査定となっていますので、加点はされません。なぜ加点はされないのかといいますと、あくまで下取りというのは新車を買う時に、必要なくなった車を引き取ることをディーラーの本社が目的としているからです。つまり下取りでは安くしか売れません。

それに対して、車買取店では、減点だけでなく、加点もします。本来下取りに出すはずだった車を下取りよりも高く買い取ることで大量に車を仕入れ、それを薄利で転売することで、経営を成り立たせます。

つまり、ディーラーの下取りよりも車買取店のほうがずっと高く売れることになります。

平均では、下取りよりも買取店のほうが10万~15万円ほど高く売れるといった具合になります。

下取り・買取された車のその後

さて、ユーザーより買い取った車はその後、次の買い手が見つかるまで、どうなるのでしょうか。

もし、その車がそのまま買取をしたお店で中古車として十分に需要があると判断された場合は、恐らく整備・手入れをされて店頭に並ぶことになります。

それらに伴った費用等は勿論上乗せされて販売されるので、そこで利益が生まれることになります。
ただ、自社の店頭に並べるということは余計な手数料がかからないので、できる限り価格を抑えて販売することができます。

それでは、自店舗では不要と判断された車はどうなるのでしょうか。

業者オークションの存在

あなたは街中で「あなたの希望する車種・グレード等を業者オークションより直接仕入れます!激安!」
…といった謳い文句の看板を見掛けたりしたことはないでしょうか。

実はこの「業者オークション」の存在こそが、中古車買取業者が利益を出すために大変重要な役割を持っています。

初めて耳にする人もいるかと思いますので、「業者オークション」について次に説明していきたいと思います。

業者オークション(オートオークション)とは

車業界に身を置いてる人にとってはとても身近な存在である業者オークション。別名オートオークションともいわれています。

それもそのはずで、この業者オークションは全国で100を優に超える数が存在しており、毎日のように自動車業者間で中古車の売買が行われています。

大きな会場ともなると1日で1万台もの競りが行われることもあります。

そして、その名の通り自動車業者のみが出入りすることができ、個人での出入りができないのが基本となっています。業者オークションはあくまで、ユーザーから買取した自動車買取業者や下取りしたディーラーなどが他の同業者に売却して利益を出すための場ですので、一般ユーザーがよく知らない存在であることは当然かと思います。

そして、中古車販売店などは自分たちが車を仕入れる時にも業者オークションを利用します。そして、売りに出す時にも利用します。繰り返しになりますが、中古車買取業者はこうして買い取った車を次々に業者オークションに出品することで利益を得ています。

ただし、業者オークションで仕入れる側はかなりの目利きが必要とされています。改ざん車や事故車も平気で出回りますので、それらの車を買わないようにしないといけません。もし買ってしまったら、他の業者に売るわけにもいかず、ユーザーにも売るわけにもいきません。なので、赤字になってしまいます。

ユーザーから適正価格で買取した車がなぜ業者オークションで、利益を生む値段で売れるの?

さて、ここでひとつ疑問が出てきます。

「そもそも適正価格でユーザーから買取したものをわざわざ業者オークションで同業者が更に高値で買取するものなのでしょうか・・・」と

実は、あらかじめ「この車なら業者オークションでこの位の価格で売れそうだな」といった感覚で業者オークションの相場を知っているので、その価格よりも低い価格でユーザーから買い取りしているので、問題ないということなんです。

車買取業者の中にはディーラーの下取り価格よりも5~10万円ほど高く買い取れば、後は業者オークションに売ってしまえば利益がでますので、そういったことを中心に事業展開しているところもあります。

そして毎日、様々な自動車を売買している業者であればどこのどんな車がどれくらいの値段であればユーザーに売れるかは、日常の業務経験から予測することは難しいことではありません。

その価格とオークションでの取引価格を比べた時に、利益が出ると判断できた場合は「買い」です。この価格差があるからこそ業者オークションでの売買は成り立っているともいえます。

最後に

自動車業界は私たちの知らないところで、様々な取引が行われています。

中には高い値段で車を売るために、走行距離を改ざんしたりするような悪質な中古車業者もいたりしますので注意が必要です。。。安心・信頼できる車屋さんとお付き合いしたいものです。