愛車を買取店の査定に出す前に気になるのが、車の査定士がどのようにして愛車の査定価格を決めているのかという点です。査定士の独自判断で車の査定価格が決められてしまわないように車査定価格を決めるための判断基準があります。

その車査定価格を決めるための判断基準をもとに買取店ごとの独自の判断基準も加味されて計算されて車の買取価格は決められていきます。

査定士が参考にしている車の判断基準=車の標準状態

どんな商品でも比較するための基準となる商品の状態がないと、正しくその商品の価値を出すことはできません。

例えば、質屋に時計を鑑定してもらうときに、本来商品として成り立つ時計の状態はホコリをかぶってない、キズがない、正確に秒針が動く、アラームが鳴る、箱がある、説明書がある・・・というようにいくつかの判断基準が揃っていることになります。

このうち、箱がなかったり、説明書がなかったりのように基準を満たしてない場合、その分だけ安くないと、誰も買おうとしませんよね。これと同じ理屈で車にも似たような判断基準があります。これが”車の標準状態”とよばれるものです。

車の査定価格は一般社団法人のjaai(日本自動車査定協会)が決めた車の標準状態といわれる査定で比較するための判断基準となる車の状態をもとに査定士の目視と鼻(臭い)で判断されます。

車の標準状態(比較するときの基準となる車の状態)

車の標準状態は以下の6項目です。

・車のボディの外装・内装が無傷である状態
・車のエンジンやバッテリー、足回り(ステアリング・ブレーキ ・サスペンション)の動作 が正常で車の走行に問題がない状態
・車の車検満了日までの残りの月数が3か月以内の状態
・車が事故による修復歴車または改造車でない状態で錆や腐食や臭いなど価値がマイナスになる要因がない状態
・車に装着しているタイヤの残り溝が1.6ミリ(スリップサイン)以上ある状態
・車の走行距離数が標準の走行距離数である状態

そして上記6項目が車の標準状態ですが、この標準をもとに買取店ごとに基本価格が決められています。この基本価格は買取店ごとに価格が異なります。

基本価格とは・・・査定をするときに、当該車が標準状態(上記6項目の状態)であればいくらになるのか判断基準となる価格です。(※基本価格は買取店ごとに異なります。)

なぜ、基本価格がお店ごとに違うのかといいますと、標準整備費、標準諸掛、特別調整の3つの項目は買取店ごとに決めてよいことになっているからです。このなかで標準整備費と標準諸掛は買取店ごとに異なりますが、おおむね以下のようなことを考慮されて決められています。

標準整備費と標準諸掛(しょがかり)の決められ方(買取店ごとに異なります)

※諸掛とは仕入れや販売に掛かる様々な費用のことです。

・車買取店の取り扱い店舗が、当該車を買取した後、きちんと売却して利益がだせるニーズはあるのか
・きちんとニーズに合った車種、グレード、年式なのか
・どのくらいの利益がだせるのか
・売却までの維持費・エンジンや足回りなどの整備費はどのくらいかかるのか
・買取から販売までの日数経過による価値減少はどのくらいなのか
・車の人気度はどのくらいで買取しても損失はないのか

そして特別調整の決められ方も買取店ごとに異なりおおむね以下のように決められています。

特別調整の決められ方(買取店ごとに異なります)

・買取店ごとの販売力はどのくらいなのか(ハイエースの販売が得意なお店もあれば、苦手なお店もあります。)
・車の保証期間はどのくらいあるのか
・在庫の回転率はどのくらいなのか(在庫の回転とは車を仕入れた後で、どのくらいの日数で売却できて在庫が掃けるのかといった在庫の流れのことです。回転スピードが速ければ速いほど買取店の利益もアップします。)
・外注価格がどのくらいかかるのか(仕入れた車のルームクリーニングの委託代、へこみや傷の修理代など)
・部品価格がどのくらいなのか(車の部品の仕入れ価格)

ここまで踏まえたうえで基本価格の計算式は以下の通りとなります。

基本価格の計算式

基本価格=査定基準価格+標準整備費+標準諸掛+特別調整

上記の計算式に登場する査定基準価格は「車の標準レベルの整備が済んでいて、車の動作が正常で外観も問題がない状態の車なら販売の目安となる価格は~円ですよ」と、一般社団法人のjaai(日本自動車査定協会)が市場をみながら毎月決めています。

車の査定基準価格は、わかりやすい例えをするなら、よく通販の商品で見かける”メーカー希望小売価格”のようなものです。

査定士が行っている査定の計算方法または算出方法(どのように価格を決めているのか)

上記の基本価格は車種、グレード、年式などで異なり、査定を依頼する前の段階ですでに決められています。そのうえで、査定士や査定スタッフがチェックシートをもとに実際に当該車を目で見て臭いを嗅いだりして”車の標準状態”と比較して、タバコの臭いがすれば減点、走行距離が標準よりも少なければ加点といった要領で加点と減点を行い、ようやく車の査定価格が決められます。

ですので、基本価格も買取店ごとに異なるうえに、査定士や査定スタッフの判断にも違いが生じてきますので、最終的な車の査定価格は買取店ごとに差が生じます。
つまり、これらの内容をまとめますと、査定価格の最終的な計算式は以下のようになります。

査定価格の計算式

車の最終的な査定価格=基本価格±査定スタッフの目視によるチェックシートの加点・減点の合計点

買取店ごとに査定価格が異なるわけは他にもある。

車の買取店によってはハイラックスサーフやランドクルーザーの販売が得意なお店があります。こういった車種は道路のインフラが整ってない海外では特に重宝されますので人気があります。このように海外とのつながりがある買取店ではハイラックスサーフやランドクルーザーを仕入れれば高く売れることが経験上わかっているので、買取店側もきちんと利益が確保できる可能性が高い車なら、他の買取店に買われてしまわないようにギリギリまで高く買取ろうとします。

他にも、軽自動車がとても人気な地域があり、こういった地域に店舗を構える買取店では軽自動車をほかのお店よりも高く買取ろうとしますし、顧客が欲しがっている車なら率先して買取しようとします。また、人気車の在庫がなければ、補充しようとしますので買取店も値段交渉に前向きに考えます。このように買取店ごとに欲しい車には違いがありますので、他の買取店の査定価格と比較してみると自然と差が生じてきます。

逆に買取店の在庫が余っている車種だったり、買取しても売れるようなアテがない苦手な車種の場合は買取店にとって欲しくないですので、できる限り安く買おうとします。ひどい場合にはディーラーの下取り価格とそれほど変わらない価格でなければ買わないというお店もあります。

このように車の買取店ごとに査定価格は異なりますので、1社だけでなく複数の買取店に実際に出張査定してもらい比較することが車を高く売る秘訣です。

以下の大手の6大買取店ではこんなに仕入れ方法と売却方法が違う。(マージンや販売方式の違いなど)

結果的に買取価格も買取店ごとに異なります。

(1)アップル

アップルの店舗で直接販売
リアルタイム相場を徹底把握して国内で最も高く売れるオートオークション会場で売却することでコストカット
海外の独自輸出ルートもある
季節要因や相場を考慮することで高値買取を実現

(2)ガリバー

買取した車は2週間ほどで国内のオートオークション会場に売ってしまうことで無在庫流通を実現して整備費用などをカットして買取価格に反映
ガリバーの店舗で直接販売
リアルタイムの相場を把握して高値売却できるタイミングを把握
海外の店舗もあるので、海外需要にも対応
車の人気ポイントを徹底把握して車の良い点は加点評価
地域ごとの季節要因で、売れる車種を把握している

(3)ビッグモーター(ハナテン)

オートオークションでは売らないことで出品手数料をカット
買取して仕入れた車は自社工場で整備・修理
ビッグモーターの店舗で直接販売
中間マージン(手数料)を徹底的に削減して買取価格に還元

(4)カーチス

国内の店舗の在庫状況と相場をリアルタイムで把握
オートオークションの相場も把握
車の運送費用を削減するために直営方式を採用
キズが気にならない顧客には修理しないまま売却することで整備費も削減
大量に仕入れて大量に売却することで回転率をあげ薄利多売を実現
中間マージン(手数料)を徹底的に削減して買取価格に還元

(5)ラビット

日本最大級のオートオークション
オートオークションの最新相場を基準として査定に反映
国内の相場の最高値を基準に査定価格を反映することで高価買取を実現
買取強化車種を設けることで現在、もっとも旬な車種を高価買取

(6)カーセブン

オートオークションでは売らないことで出品手数料をカット
カーセブンの店舗で直接販売
中間マージン(手数料)を徹底的に削減して買取価格に還元
純正オプションや社外オプションなど も査定に加点して反映
一般的に敬遠されがちな不人気車もレンタカーとして使用するために買取