車のエアコンを長年使い続けていると、すごく酸っぱい臭いがでるようになります。体験したことがある方はご存知かもしれませんが、あの「もわーっ」というような酸っぱい臭いは、エアコンをつけてしばらく放っておくと、徐々に和らぎます。でも、あくまで一時しのぎにすぎません。

よくファブリーズのCMで知り合いを車に乗せると、すごい嫌な顔をして「臭い・・・」という表現を目にしますが、確かにその通りで、車の持ち主以外の人が、その車に乗ると、持ち主以上に臭いがわかってしまいますので文句を言われます(泣)。

ただ、正直ファブリーズや消臭剤を少しくらい使っても、この酸っぱい臭いが取れるようにはなりません。ではどうしたらいいのか?そもそも車のエアコンの酸っぱいはなぜ発生するのかについてもご紹介していきたいと思います。

車のエアコンからの酸っぱい臭いがでる原因

車のエアコンからなぜ酸っぱい臭いがでるようになってしまうのか・・・

この仕組みを知るためにはまずカーエアコンの仕組みを簡単に知る必要があります。

といっても、まったく難しくありません。

酸っぱい臭いがどこから来るのか知るためカーエアコン仕組みを簡単にご紹介!

1.カーエアコンのファンが回ることで風の元となる空気(外気または内気)を取り込みます。
2.エアコンフィルターを1.の空気が通過します。(※カビ・菌・砂埃・花粉・排ガスや大気の粉塵などの大部分がここで除去されます。)
3.ファンの駆動部を2.の空気が通ります。
4.冷却されたエバポレーターを3.の空気が通ります。(※液化フロンガスをエバポレーターで蒸発させることで熱を奪いエバポレーターが冷却されます。このときに空気が冷えることで結露が生じます。⇒カビの原因。)
5.4.で冷やされた空気をそのままカーエアコンの吹き出し口からでれば冷風。ヒーターコアで温められてカーエアコンの吹き出し口からでれば温風となります。

これがカーエアコンの仕組みです。

つまり酸っぱい臭いはエアコンフィルターとエバポレーターに蓄積されたカビ、雑菌、砂埃、花粉、ゴミ、ホコリなど・・・

この仕組みの2.の部分でエアコンフィルターを長年使い続けていくとカビ・菌・砂埃・花粉・排ガスや大気などの粉塵が蓄積され続け酸っぱい臭いやエアコンの効き目が悪くなる原因になります。

さらに仕組み4.の部分でエバポレーターも長年使い続けていくとゴミやほこりが蓄積されていき、結露で生じたカビもたまり、酸っぱい臭いやエアコンの効き目が悪くなる原因になります。

このように、様々な物質が加わって酸っぱい臭いを作り出しています。

ただ、この酸っぱい臭いの原因の根本的な犯人は結露によるカビであることが経験上わかってきました。

なぜか、結露が起きている窓から同じような酸っぱい臭いが発生

よく冬場の日光が当たりにくい場所の窓ガラスを掃除するとわかるのですが、室内が温かいので、窓ガラスに結露がたまります。この結露を放置しておくと、1年に1回の掃除のときには、やはり酸っぱい臭いがするようになります。
そして、ティッシュで拭くと、どす黒い汚れが取れます。この黒い正体は、カビ、雑菌、塵、ホコリ、砂など様々です。

結露が発生してない窓には酸っぱい臭いが発生してないので、やはり結露によるカビが大きな影響をもたらしていることは間違いないです。

これと同じことがエアコンにも同じことが言えます。以下の2つの器具が湿気や吸引によりカビ、雑菌、塵、ホコリ、砂などがたまり、酸っぱい臭いを出しています。

(1)エアコンフィルター

(2)エバポレーター

車のエアコンからの酸っぱい臭いを放置しておくとどうなるの?

車のエアコンの酸っぱい臭いを放置しておくと、エアコンフィルターやエバポレーターに目詰まりが起き、通気性が悪くなり、結果的にエアコンの効きが悪くなります。

また、真っ黒なエアコンフィルターを交換しないでおくと、カビ、雑菌、塵、ホコリ、砂などがついた状態で送られてきた風を呼吸で体内に取り入れることになりますので、以下のように健康的にもよくないです。

呼吸によってカビの胞子が体内に入ってアレルゲンになったり、あるいは肺胞内で繁殖し病気を引き起こします。とくに肺アスペルギルス症は重い病気で、いったん肺の中でカビ(真菌類)が繁殖しますと執拗でなかなか排除できません。 出典:日本アトピー協会

カーエアコンの酸っぱい臭いを除去するためには以下の2つの器具の交換または洗浄が必要です。
どちらもメーカーのディーラーでやってもらえます。お店によりけり値段は異なります。

カーショップ(オートバックスやイエローハット)はお店によりけりですがエバポレーターを取り外さないでムースみたいな洗浄剤を吹きかけているだけの完全な洗浄を行っていないところが多いので注意が必要です。)

エバポレーター洗浄を依頼する前に、メーカーに問いあわせて完全に分解して詰まった汚れを綺麗にする方法を取り入れているところを探しましょう。

エアコンフィルターとエバポレーターのどちらか片方を依頼するのではなく、両方綺麗にしてもらうことをおすすめします。

(1)エアコンフィルターの交換

エアコンフィルターの交換費用は1000円~5000円です。
エアコンフィルターの工賃の目安は1000~2000円です。

(2)エバポレーターの洗浄

ちなみにエバポレーターは交換すると非常に高いので洗浄のみを行います。
エバポレーターの洗浄の工賃の目安は4500~7000円です。

大切なことなので、もう一度いいますが、エバポレーターの洗浄は分解して完全に取り外して、綺麗にしてもらわないとダメなので、メーカーに依頼するようにしましょう。

エアコンフィルターの役割と交換時期(メーカー別)。※エアフィルターではありません。

エアコンフィルターの交換時期は一般的に1年に1回または走行距離1万2000キロにつき1回と言われていますが、メーカーによりけり交換推奨時期は異なります。そもそもエアコンフィルターには様々な種類があり、材質なども異なりますので、お使いのエアコンフィルターの種類などを見極めて、最適な交換時期に交換することが望ましいです。

マツダの普通車・・・1年または走行距離2万キロで交換推奨(※高機能エアコンフィルターに限り1年または走行距離1万キロで交換推奨)

マツダの軽自動車・・・清掃は1年または走行距離1万キロに1回で車検時に交換(※高機能エアコンフィルターに限り1年または走行距離1万キロで交換推奨)

マツダの純正エアコンフィルターは基本的な機能として花粉、塵を除去します。さらに高機能フィルターではPM2.5や排ガスの除去、抗菌、脱臭などもするようになっています。

ホンダのロングライフタイプ・・・2年または走行距離2万4000キロで交換推奨
(※ロングライフタイプとはロングライフつまり長期間でも使用可能で花粉もきっちりとれるホンダの純正エアコンフィルターです。)

ホンダのアレルフリー高脱臭タイプ・・・1年または走行距離1万5000キロで交換推奨
(アレルフリー高脱臭タイプとはエアコンフィルターに抗アレルゲン剤を加え花粉などのアレルゲン除去を目的としたホンダの純正フィルターです。臭いもロングライフタイプ以上に取ることができます。)

トヨタの純正クリーンエアーフィルター・・・ 1年または走行距離1万キロで交換推奨
(トヨタの純正クリーンエアーフィルターとはエアコンの風量アップと花粉、ホコリを除去するためのトヨタ純正のエアーフィルターです。)。費用は概算で3100円~

トヨタ社推奨のデンソークリーンエアフィルター・・・1年または走行距離1万キロで交換推奨
(デンソークリーンエアフィルターとは花粉・カビ・菌・排ガス臭・アセトアルデヒドをシャットアウトする目的としたデンソー社のエアコンフィルターです。プレミアムはさらにアレルゲンの抑制やペット臭もシャットアウト機能もついてきます。)

ちなみにトヨタのクリーンエアーフィルターはエアコンフィルターのことなので、一般的にエンジンの不純物を取り除くために使われるエアーフィルターのことではありませんので呼び名は似ていてもまったく別物なので注意が必要です。

日産の純正クリーンフィルター・・・・・・ 1年または走行距離1万2000キロで交換推奨

日産の純正クリーンフィルターは抗アレルゲン剤や活性炭などを取り入れることでPM2.5、花粉、土ホコリ、ダニ、ペットの臭い、カビなどをあらゆる物質をシャットアウトすることを目的とした純正のエアコンフィルターです。費用は概算で6000円~

日産の純正クリーンフィルタープレミアム・・・1年または走行距離1万2000キロで交換推奨

日産の純正クリーンフィルタープレミアムは上記のクリーンフィルターにビタミンCを放出する機能も追加した純正のエアコンフィルターです。費用は概算で7000円~

このようにメーカーごとにエアコンフィルターの交換時期は異なりますが、もし交換時期になってもエアコンフィルターが黒くない場合でも交換の必要はあるのか気になる方もいらっしゃると思います。どのくらい車に乗るのかの頻度もドライバーによって異なりますのでエアコンフィルターの汚れに差がでてしまうのも事実です。

確かに見た目では黒くない状態でも、エアコンフィルターの脱臭能力や抗菌力は経年劣化していますので、やはり替えてしまうことをおすすめします。

どんなに見た目では綺麗であっても車検のときについでに交換してしまえば次の車検まで安心してエアコンが使えますし、工賃含めて数千円ですし、それほど高くないですからね。

エアコンの臭いを完全に取りきるには自力では無理なので業者に頼んでパーツ交換や洗浄をするべきですが、自分でもできる限りのエアコンの臭い対策をしておくと、エアコンフィルターやエバポレーターの効果が持続しやすくなります。

自分でできるエアコンの臭いを防ぐための対策

そもそも、なぜカビが発生してしまうのか・・・その仕組みはカビが生きるためには水分が欠かせないからです。ですので、結露が発生するとカビの元となります。

つまりカビがでないようにするためには水分を断ってしまえばいいので、エアコンの内部を乾燥させることがエアコンの酸っぱい臭いを防ぐための対策になります。

では、どうしたら乾燥させることができるのか、そこで登場するのが暖房です。窓を閉めて10~15分ほど暖房を強めに行い時間が来たら暖房を止めて窓を開けて換気をしましょう。

カーエアコンの吹き出し口にホコリや汚れが大量に付着していることが多いので掃除機やティッシュなどでふき取り綺麗にしておきましょう。