車のヘッドライトがつかない原因には様々なケースが考えられます。そしてヘッドライトの種類によって交換する部品が異なりますので、対処の仕方を正確に行う必要がでてきます。

そこで、まずはヘッドライトの種類から調べていただき、ヘッドライトがつかない原因を特定して、スムーズに対処をしていきましょう。

まず知っておきたいヘッドライトの仕組みとその種類。

ヘッドライトには大きく分けて3つの種類があります。

⑴昔から使われているハロゲンタイプ。
⑵ヘッドライトをONにするとボヤ〜っと点灯する、白く明るいHID。
⑶ここ最近増えてきた省消費電力でありながらしっかりと明るいLED。

厳密にはシールドビームタイプなどもありますが、新車では、ずいぶん前から採用されていない古いタイプのものなので割愛します。また、HIDは「キセノン」「ディスチャージ」「バイキセノン」…など様々な名称で呼ばれることがありますが、基本的に仕組みは同じです。

⑵のHIDはハロゲンタイプのものでいう「バルブ」にあたるものを「バーナー」と呼んでいます。これを点灯させる為に、まずバッテリーからの電気を「バラスト」と呼ばれる安定器で交流電流から直流電流に変換します。その次に「イグナイタ」という部品で数万Vまで昇圧させ、バーナーの中で放電させ化学反応したものが光源となります。そして部品点数が多いのが特徴とも言えます。

⑶のLEDタイプはHIDと違い、「バーナー」や「バラスト」といった部品はありません。最近になって市場で出回るようになったこともあり、まだ値段が割高な傾向にあるようです。

更にヘッドライトは以下のように、

・すれ違い用前照灯(ロービーム)
・走行用前照灯(ハイビーム)

と2パターンの異なった距離を照射するようになっています。

そして、それに使われているバルブの種類として

・どちらもハロゲンのもの
・どちらもHIDのもの
・ロービームはHIDでハイビームがハロゲンのもの
・どちらもLEDのもの

などがあります。

どちらも同じバルブを使っているものの中では更に単一のバルブで明るさを切り替えているものと、ロービーム用のバルブとハイビーム用のバルブが別になっているものがあります。

まずは、ハイビームとロービームどちらが切れているのか、ライトを点灯した状態で車を見て確認してみましょう。

ここまで踏まえたうえで、ヘッドライトの種類について知ってもらったところでヘッドライトが点かない原因について考えていきましょう。

ヘッドライトが点かない原因

⑴ハロゲン球タイプのヘッドライトが点かない場合

・ヘッドライトバルブの球切れ

ハロゲン球の場合、1番良くある原因がヘッドライトバルブの球切れです。これは単にバルブ内部のフィラメントが切れて寿命がきたということなので、バルブを交換して対応しましょう。

このバルブは「H4」や「HB4」「H1」等々、形状が違っており各車両に適合するものも違います。ですので、バルブの種類を間違えないようにかならず確認してくださいね。

余談ですがハロゲン球の場合、バルブが切れかけ…という時にはヘッドライトを軽く叩くと点灯することもあります。それでも勿論寿命がきていることに変わりはないので交換は必須です!

⑵HIDタイプのヘッドライトが点かない場合

・バーナーの寿命

ハロゲン球と同じようにバーナーにも寿命があります。特徴として、通常は白色の灯火色ですが、寿命が近付いてくるとヘッドライト点灯時にピンクや紫がかった色味に一瞬なります。壁などを照らすと明らかに違うくらい分かるので、気付かれた方はヘッドライトが切れて不便な思いをする前に、バーナーを交換しましょう。

・イグナイタやバラストの不具合

もしバーナーを交換してもライトが点かない場合、点灯しない側のバーナーと点灯している側のバーナーを入れ替えてみましょう。症状が入れ替わらなければ、バーナーは正常だということで、次に考えられるのが、イグナイタやバラストの不具合です。バラストはコントロールユニットと呼ばれたりすることもあり、純正品だとバンパーとヘッドライトを取り外さないと交換ができなかったりします。

ハロゲンタイプのものに、社外用品でHIDに変えられている方は、後付けなのでエンジンルームの手の届く場所にあるかもしれませんね。

どちらが原因かは左右で付け替えてみないと分からないことが多く、交換となると数万円はしてしまう高額な部品となりますが、特別珍しいケースではありません。

⑶LEDタイプのヘッドライトが点かない場合

・LEDバルブの寿命

幾ら高寿命となったところで、安価な商品などであればLEDであってもバルブが駄目になることもあります。元々はハロゲン球タイプの車でLEDバルブに付け替えている人はまず、バルブを交換して点灯するか確認してみましょう。

・ヘッドライトAssy交換が必要となる場合

最近、純正採用されているLEDヘッドライトは基本的にバルブ切れになることを想定していません。また安全装備としてヘッドライト自体に様々な機能が備わっているものがあり、バルブの単体交換ができない作りとなっていることがあります。

よって、ヘッドライトが点かなくなった際にはヘッドライトを丸ごと交換しなければいけなくなるので、部品代だけでも片側で10万円位することもあります。ただ保証内であれば無償交換はしてもらえるはずですし、実際今のところ私が日常、整備士として仕事をしていてLEDヘッドライトが切れた…という症状には遭遇したことがありませんので、かなりレアなケースとなるなのではないのでしょうか。

最後に

ヘッドライトが点かない原因として、先ほど説明してきたこと以外で電気回路に起因するものとして、「リレーの不良」や「フューズ切れ」「コンビネーションスイッチの不良」等が考えられる場合もあります。

診断に、これらの部位が関わってくると、専門的な知識が必要となってくるので、不具合箇所の特定はプロの整備士さんにお任せするようにしましょう。